公正証書遺言なら安心・安全
さて、今までは「自筆証書遺言」の作成について説明してきましたが、
ここでは、「公正証書遺言」について少し説明させていただきたいと思います。
公正証書遺言とは、民法に定められた手続きによって、公証人によって作成される遺言方式です。
手続きは面倒そうに思えるかもしれませんが、専門家である公証人が作成するので、遺言の内容に不備が出る事がありません。
また、原本が公証役場に残るので、遺言の変造などをされる恐れもありませんし、紛失しても大丈夫です。
自筆遺言と比べて、多少のお金はかかりますが、安全・確実という面では、公正証書遺言の方が優れていると言えます。
簡単なケースの遺言であれば、直接、公証人役場に問い合わせても良いでしょう。
※ただし、実際に作成するときには、証人が2人必要です(後述)
公正証書遺言を作成すときに必要な書類
① 遺言者本人の印鑑証明書
② 遺言者と相続人との続柄がわかる戸籍謄本
③ 財産を相続人以外の人に遺贈する場合には、その人の住民票
④ 遺産に不動産が含まれる場合には、登記簿謄本及び固定資産の評価証明など
※日本公証人連合会のページより引用
直接、自分で問い合わせをされる場合は、自分のケースではどのような書類が必要かどうか聞いておきましょう。
必要な書類の取り方も、公証役場で教えてもらえます。
公正証書遺言の作成には証人2人の立会いが必要
証人は誰でもなれる訳ではなく、以下の者は証人になれません。
1. 未成年者
2. 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
3. 公証人の配偶者、4親等以内の親族、書記及び使用人
問題になるのは、上記の2の「推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族」です。
これら以外の証人を2人頼むのは、少し大変だと思います。
直接、公証役場ではなく、専門家に依頼した場合は、専門家の方で証人を用意できる場合が多いです。
また、自分で手続きをされる場合でも、公証人役場が証人を紹介してくれるサービスもありますので、
専門家または公証人役場にお問い合わせください。
公証人の出張サービスもある
遺言者が病気などで、公証人役場まで行けないような場合は、
公証人が出張してくれるサービスもあります。
詳しくは、専門家または公証役場にお問い合わせください。
専門家に依頼すると楽です
自分で直接、公証人に依頼するのも良いかもしれませんが、
専門家に依頼するという方法もあります。
専門家に依頼した場合は、
あなたの気持や考えを聞いて、専門家が相続財産の調査
必要書類の収集、草案の作成、公証人との打ち合わせなど、
スムーズに遺言書が作成できるように手助けします。
手数料がかかる事を忘れずに
公正証書遺言を作成する場合は、公証役場に手数料を払わなくてはなりません。
目的の価額 手数料 100万円まで 5,000円 200万円まで 7,000円 500万円まで 11,000円 1,000万円まで 17,000円 3,000万円まで 23,000円 5,000万円まで 29,000円 1億円まで 43,000円 以下、超過額5000万円までごとに
3億円まで13,000円
10億円まで11,000円
10億円を超えるもの8,000円が加算遺言手数料 11,000円 一億円まで
計算の仕方は、相続人1人当たりで計算しますので、
例として、8,000万円の相続財産を、妻に全て相続させる場合は、
43,000円+11,000円(遺言手数料)=54,000円
8,000万円の相続財産を妻と長男に半分ずつ相続させる場合は
29,000円+29,000円+11,000円=69,000円となります。
この他にも細かい規定がありますので、詳しくは公証人役場にお問い合わせください。
また、専門家に依頼する場合や、証人を依頼する場合は、
別途費用が必要となりますので注意してください。