遺留分減殺請求権とは
被相続人による、生前贈与や遺贈によって、相続人の取り分が遺留分よりも不足する事になった場合は、遺留分の限度まで、贈与や遺贈を取り戻す請求をすることができます。これを遺留分減殺請求権と言います。
減殺の当事者
遺留分減殺請求権を行使できるのは、遺留分権利者とその承継人です。相手方は、受贈者・受遺者、その包括承継人または悪意の特定承継人です。
尚、包括遺贈に対する遺留分減殺請求権は、遺言執行者を相手とすることができます。
減殺の順序と割合
遺留分減殺請求権の順序と割合については、以下のように民法に規定されています
- 贈与は、遺贈を減殺した後でなければ、減殺することができない。(民法1033条)
- 遺贈は、その目的の価額の割合に応じて減殺する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。(民法1034条)
- 贈与の減殺は、後の贈与から順次前の贈与に対してする。(民法1035条)
遺留分減殺請求権の行使・効果
遺留分減殺請求権は、減殺の意思表示によって当然に効果が生じます。これは裁判など、特別な方式によらないでも効果が発生するということです。ですが、実際には、後に証拠を残すために、内容証明郵便や裁判所に対する手続きなどではっきりとさせた方が良いでしょう。
減殺請求を受けた受贈者や受遺者は、返還すべき財産のほかに、減殺のあった日以後の果実も返還しなくてはなりません。ここでいう果実というのは、主に不動産の賃料や貸金債権の利息などの事です。
贈与や遺贈を受けた日からではなく、減殺の請求を受けた日から計算します。
遺留分減殺請求権の消滅時効・除訴期間
減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。(民法1043条)
このどちらかの期間が経過すると、遺留分減殺請求を行使することはできなくなります。