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相続人

総説

相続人になれる人間は、民法で定められています。
民法で定められた相続人を、「法定相続人」といいます。
法定相続人は、「配偶者相続人」と「血族相続人」があります。

配偶者相続人とは、妻や夫のことです。
配偶者が生きている場合、必ず相続人になります。
配偶者とは、婚姻届を提出している、法律上の配偶者に限られますので、
内縁関係や事実婚の場合は、配偶者相続人としては認められません。
(内縁関係や事実婚の場合は、配偶者相続人はなれませんが、「特別縁故者への相続財産分与」という制度があります)

血族相続人になれるのは、被相続人の子(孫)、直系尊属(実父や祖父)、兄弟姉妹に限定されています。
ただし、この中の全員が相続人になれる訳ではなく、相続順位が決められています。

相続の順位

相続の順位は、民法によって定められています。

■第一順位 被相続人の子
■第二順位 直系尊属
■第三順位 兄弟姉妹

被相続人の子(実子・養子)や代襲相続する場合の孫などがいる場合は、被相続人の子が。
被相続人の子がいない場合は、直系尊属(実父や祖父)が、
被相続人の子も直系尊属もいない場合は兄弟姉妹が相続人になります。
そして、配偶者相続人がいる場合は、常に相続人となり、血族相続人と相続分を分け合うことになります。

つまり、子と妻がいる場合は、子と妻が相続人。
親と妻がいる場合は親と妻が相続人、子と親がいる場合は子のみが相続人・・・。
数え出したらきりがないですが、基本的に、配偶者は常に相続人になり、子や親や兄弟姉妹は順位によるということです。

※法定相続分の計算の仕方についてはこちら

相続欠格

本来、相続人になるべき者であっても、一定の事由により、相続権を失う場合があります。
相続に関して、不正に利益を得ようとしたものや、犯罪や重要な非行を犯したりした者から、
相続権を取りあげてしまおうという制度です。

民法が定める、相続欠格の事由は、次の通りです。

  1. 故意に被相続人または相続について先順位もしくは同順位にある者を死亡するにいたらせ、またはいたらせようとして刑に処せられた者
  2. 被相続人が殺害されたことを知りながら、告訴・告発をしなかった者(ただし、相続人に是非の弁別がないとき、または殺害者自己の配偶者もしくは直径血族であったときは除かれる)
  3. 詐欺または強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、これを取り消し、またはこれを変更することをさまたげた者
  4. 詐欺または強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、これを取り消させ、またはこれを変更させた者
  5. 相続に関する被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・または隠匿(いんとく)した者

条文そのままなので少し解り辛いかもしれませんが、被相続人や先順位・同順位の相続人を殺したり、殺そうとした者や、詐欺や強迫によって、遺言を書かせたり、または、変更や取り消しすることを止めさせたり、遺言書を偽造したり捨ててしまったりということです。
そういった事をした者は、法律によって相続人たる地位を失うことになります。

相続人の廃除

次に、相続人の廃除という制度があります。
これは、推定相続人から相続権を剥奪してしまう制度です。

例えるなら、相続させたくない息子に自分の財産が渡らないように、相続権を取り上げてしまうのです。

廃除の要件としては、
「遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して虐待をし、もしくはこれに重大な侮辱を加えたとき、または推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を改定裁判所に請求することができると」なっています。

家庭裁判所に申し立てるときの申立人は、
被相続人(遺言によって廃除する場合は、遺言執行者)であり、
相手方は、遺留分を有する推定相続人です。

遺留分というのは、被相続人の財産の中で、一定の相続人に対して、
必ず残しておかなければならない遺産の一定の割合のことをいいます。
詳しくは、遺留分の部分にて説明しますが、
仮に、被相続人が、「全財産をAに相続させる」と遺言を残していたとしても、
一定の相続人は、遺留分として、一定の割合を請求することができます。

廃除の対象が、「遺留分を有する推定相続人」となっているの、この遺留分に関係しています。
つまり、廃除したい人間に対しては、一切相続がさせたくない場合に使うのです。
それでないと、仮に、「第3者に全財を相続させる」という遺言を残したとしても、
遺留分があるので、一定の財産は、結局、遺留分を持つ相続人に渡ってしまいます。それを防ぐための排除なのです。

ですから、逆の考えで、遺留分を持たない相続人兄弟姉妹)には、廃除をすることができません。
何故ならば、兄弟姉妹には遺留分が無いので、兄弟姉妹に遺産を渡したくない場合は、
他の人に相続させるという遺言を残せば済むからです。

代襲相続

代襲相続とは、被相続人の子がすでに死亡している場合に、
その子(や孫)がいれば、死んだ子の代わりに相続分を引き継ぐという制度です。
相続欠格や相続廃除によって相続権を失った場合も、その相続人に子がいれば、代襲相続をすることができます。

代襲相続の順番として、まず相続人の子がいれば、子が代襲相続人になり、
子も相続権を失っている場合は、さらにその子である孫が代襲相続人となります。

ただし、相続人が、被相続人の兄弟姉妹である場合は、一代しか代襲相続が認められません。
つまり、兄弟姉妹の子は代襲相続できるが、孫は代襲相続はできないということです。

ちなみに、相続人が、相続の放棄をした場合は、
初めから相続人とならなかったことになりますので、代襲相続はできなくなります。

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